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「使用済み太陽光パネルの処理で法整備も検討」、総務省の勧告に環境省など回答

2018年4月7日

総務省は3月30日、「太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査」の勧告に対する改善措置の状況について発表した。同省は、2017年9月に環境省と経済産業省(経産省)に対し、太陽光設備の不適切な廃棄処分などに関して改善を勧告し、今回、両省から回答を受けた。

回答によると、環境省は、都道府県に対して、使用済みパネルの感電リスクなどに関して関係者に注意喚起するよう促すとともに、太陽光パネルの含有成分に関する情報公開や、リユース・リサイクル・適正処理に関する法整備も検討すると表明した。

総務省は、全国に大量に設置された太陽光パネルが、将来、寿命を迎えたり発電所を撤去するといった理由で大量に廃棄されることを見込んで調査していた。

現状で、まとまった量の太陽光パネルが廃棄されているのは、大雨や台風、大地震などによって被災した場合がほとんどとなっている。

総務省が、被災した太陽光パネルの処理状況を調査したところ、適切に処理されていない例が見つかった(関連コラム:太陽光パネルの廃棄で不適切な例、総務省が改善を勧告太陽光パネルメーカーが開示を拒む例も、廃棄の適正化へ総務省が勧告)。こうした調査結果を受けて、環境省と経産省に勧告した。

今回の発表は、この勧告に対する、1回目のフォローアップとなる。その内容は、主に二つある。一つ目は、災害によって損壊した太陽光パネルへの対処である。

太陽光パネルは、損壊したり水没した後も、人が不用意に触った場合、感電する恐れがある。また、含有する有害物質が流出する恐れもある。

被災した太陽光パネルに関する廃棄に関しては、廃棄物処理法やガイドラインなどが定められている。しかし、調査では、「感電などの危険性について、一部を除き、地方公共団体・事業者とも十分な認識がなく、地域住民への注意喚起も実施されていなかった」実態が明らかになった。

災害の発生時に、6カ所の市町村では、感電の危険性・有害物質の流出の危険性のいずれも認識しておらず、地域住民に注意を喚起しなかった。損壊パネルを排出した3者の排出事業者も、危険性の認識に差があり、いずれも地域住民に注意を喚起していなかった。

損壊現場における感電などの防止措置も、一部を除き、十分かつ迅速には実施されていなかった。産業廃棄物として処理された例では、現場で感電などの防止措置が講じられないまま、最長で3か月存置されていた例が3件あった。

この存置されていたパネルのうち、その後の溶出試験の結果、基準を上回る有害物質(セレン)が検出された例も報告された。

台風による水害で被災した化合物型太陽光パネル
茨城県常総市の鬼怒川沿いの太陽光発電所の例(出所:日経BP)

「災害廃棄物」として処理された中には、仮置場への搬入後は感電などの防止措置が講じられていた例もある。しかし、搬入されたのは災害発生から最長9カ月後だった。

こうした状況を踏まえ、環境省に対して、「廃棄物処理される損壊パネルについて、地域住民などへの被害の未然防止を図る観点から、経産省と連携して、地方公共団体・事業者に対し、損壊パネルによる感電や有害物質の流出の危険性、地域住民などへの注意喚起や感電などの防止措置の確実な実施について、周知を徹底する必要がある」と勧告した。

この勧告に対して、環境省は今回、三つの施策による対応を示した。

まず、2017年秋に各地で大きな被害が生じた二つの台風の接近・上陸に際しての対応である。

同年9月の台風18号では、大きな被害が生じた都道府県に対して、同年10月の台風21号では、全都道府県に対して、損壊パネルによる感電などの危険性や地域住民などへの注意喚起、迅速な感電などの防止措置や損壊パネルの適切な保管・処理の実施について、市町村・事業者への周知を求める通知を発した。

同年11月には、東北地方環境事務所における災害廃棄物対策東北ブロック協議会において、総務省による勧告について説明し、今後も各地の同様の協議会などを通じて周知していく。この協議会は、地方環境事務所の管轄区域内における都道府県、政令指定市などの間で、災害時の廃棄物対策の情報を共有する目的で開催されている。

また、平常からの備えとして、都道府県・市町村における災害廃棄物処理計画の作成に資する目的で、災害廃棄物対策の留意事項などをまとめた 「災害廃棄物対策指針」の改定時に、損壊パネルなどの撤去における注意点を盛り込む。2018年夏ころに公表する予定で、都道府県などに周知する。太陽光発電設備関連の法制度や保管・処理の留意事項などを整理した環境省のガイドラインにも、損壊パネルの取扱いや留意事項を追記する。

二つ目の勧告内容は、使用済みパネルの適正処理・リサイクルに関するものである。

使用済みパネルは、排出の実態からほとんどが産業廃棄物に該当し、そこでは排出事業者が処理責任を負う。しかし、調査では、パネルの有害物質に関する情報が、排出事業者から産廃処理業者に十分に提供されず、含有成分を未確認のまま、遮水設備のない安定型最終処分場に埋めた例が相次いだ。

この背景として、「産廃処理業者が含有状況を確認するために、太陽光パネルメーカーに照会したところ、直接の購入者ではないことを理由に、メーカーが情報開示を拒否した」といった、パネルメーカーの姿勢が問われる対応も指摘された。

このため、環境省と経産省に対し、今後の使用済みパネルの排出の増加も見据え、適正処理・リサイクルを確実に実施できるように、(1)関係事業者が使用済みパネルに関する有害物質の情報を容易に確認・入手できるよう措置し、関係事業者に周知すること、(2)その上で、有害物質関連の情報について、排出事業者から産廃処理業者への提供義務を明確化し、埋立処分の適切な方法を明示・周知すること、(3)使用済みパネルの回収・適正処理・リサイクルシステムの構築について、法制度の整備も含めて検討することを勧告した。

この勧告に対して、両省は、(1)の有害物質情報を容易に確認・入手できる環境整備については、太陽光発電協会(JPEA)に要請した。JPEAは関連情報の提供に関するガイドラインを定め(関連ニュース)、これに基づいて太陽光パネルメーカー1社が、自社製の太陽光パネルが含む有害物質の含有率について、自社のwebサイトで開示した。今後もこうしたメーカーが増えるよう、働きかけていくとしている。

2018年2月に改定された「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」では、使用済みパネルが最終処分される際の適正処理に必要な情報などが開示され、webサイトなどにより容易に確認できることを調達の判断基準に追加した。

(2)の埋立処分の適切な方法については、現状の使用済みパネルの埋立処分の実態の把握や、有害物質情報の伝達の在り方を踏まえつつ、今後、使用済みパネルの性状などに応じて、適切な埋立処分の方法を検討していく。

(3)の使用済みパネルを適正にリユース・リサイクル・処分するための施策については、リサイクルの実施状況や海外の動向を踏まえ、法整備も含め検討しているとする。

台風による水害で被災した結晶シリコン型太陽光パネル
北海道帯広市の太陽光発電所の例(出所:日経BP)

 

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